Thursday, August 1, 2024

 日本語の文献における英語の誤用は多くあります。そのほとんどは英語の文法上の間違いを含んでいますが、英語の文法に間違いがなくても誤用はあります。

その最たる例が "we Japanese" です。これは「我々日本人」と言う表現をそのまま英語にしたのですが、大変な誤用であり外国人を怒らせてしまいます。日本人にとって「我々日本人」は普通の表現なので、そのまま英語にしても別に不思議に思いません。なぜ誤用なのか説明をいたします。

英語の"we"には二つの役目があります。一つは"inclusive we" と言って話者が聴衆を含む場合です。例えばアメリカの同時通訳の学校の校長が日本の同時通訳の学校で講演を行い, "We are simultanious interpreters." と言ったとします。聴衆は訓練生なのでまだプロではありません。しかし"we"と言う言葉を使って『あなた方も同時通訳なんですよ』とヒントしたのです。これは訓練生を鼓舞するために使う "we" で、聴衆が含まれるので "inclusive we" と言います。

第二の "we" の意味ですが、これを"exclusive we" と言います。これは話者と話者が知っている人物を含みますが聴衆は含まれていません。

ある国際学会で起きた事件です。これは英語教育者の集まりの中で、ある日本人の先生が "We Japanese know English grammar well." と言いました。これを聞いたアメリカ人の議長が烈火の如く怒りました。これが "exclusive we" の例で、その日本人の発言は『我々日本人は英文法をよく知っているが、あなた方は外国人だから英文法を知らない。』と聞こえたのです。議長が怒ったのは無理もないですよね。

結論です。英語の "We Japanese"は使わないで下さい。



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